インフラエンジニアは、システムの基盤を支える重要な役割を担っているため、幅広いスキルが必要になります。そういったスキルを備えていなければ、仕事の幅が狭まってしまい、転職や昇進のチャンスを逃してしまう可能性があるので注意が必要です。

この記事では、インフラエンジニアに求められるスキルから、効率的にスキルを身につける方法、スキル向上に役立つ資格、スキルアップを目指す時の注意点などを解説します。

インフラエンジニアの現状と需要

まず、インフラエンジニアの現状や需要について解説しておきます。

インフラエンジニアの現状

厚生労働省の職業情報提供サイトによれば、インフラエンジニアの令和6年の有効求人倍率は2.28となっており、求人が多く求職者が少ない状況を示しており、人材が不足していることがわかります。

IT技術者全体でスキル不足・人数不足を感じている企業が多く、「システム基盤を支えるバックエンドエンジニア(39%)」「インフラエンジニア(38%)」といった職種で、不足感が特に強いという 調査結果もあります。

このように、インフラエンジニアはIT人材全体の中でも特に不足が深刻な職種のひとつといえるでしょう。

インフラエンジニアの将来の需要

では、この需要は将来も続くのでしょうか。経済産業省の「今後のIT人材需給の見通し」によると、「今後最も不足する人材」としてインフラエンジニアを含む IT系職種が若手を中心に一定数不足しているとの見通しが示されています。

特にIoTやAI、ビッグデータなど先進技術の普及がより進むことから、これらを支えるインフラ基盤を設計・構築・運用できる人材の需要が高まることが予想されます。このように、インフラエンジニアは将来も需要が続き、キャリアを築きやすい職種であるといえるでしょう。

インフラエンジニアにおいてはスキルが重要

インフラエンジニアとしてキャリアを築くときには、スキルが特に重要になります。 実際、国内ITインフラ運用動向調査の分析結果によると、「ITインフラの課題」として「ITエンジニアのスキル不足」がもっとも多く挙げられています。スキル不足は、業務効率やシステムの安定稼働に直結する大きな問題であり、企業側も深刻に受け止めていることがわかります。

加えて、同調査では「ITエンジニアの人数不足」や「セキュリティ上の懸念」も大きな課題とされており、限られた人材の中で高い専門スキルを持つエンジニアの価値はますます高まっている状況です。

つまり、インフラエンジニアとして市場価値を高めるためには、ITインフラの知識やスキルはもちろん、セキュリティや運用自動化など、最新技術に対応できるスキルを身につけることが不可欠といえるでしょう。

インフラエンジニアに求められるスキル

インフラエンジニアには幅広いスキルが求められますが、どのようなスキルが必要なのでしょうか。

ネットワークやサーバーに関する知識

インフラエンジニアとして活躍するためには、ネットワークやサーバーに関する知識が欠かせません。インフラエンジニアの業務は、企業のIT基盤を安定的に運用・管理することに直結します。そのため、ネットワークの基本構造や通信プロトコル、サーバーの構築・運用方法について理解していなければ、障害対応やシステム設計に対応できないでしょう。

まず、ネットワークに関しては、TCP/IPやHTTPなどの通信プロトコルの理解、ルーティングやスイッチングの仕組み、サブネット設計やVLANの構成方法など、基礎から応用までの知識が必要です。サーバーに関しても、OSの基本操作や構築手順を理解していることは前提ですが、さらに仮想化環境やクラウド環境での運用経験も求められます。

このように、インフラエンジニアにはネットワークとサーバーに関する基礎から応用までの知識が求められるため、幅広く深い学習と実務経験を積むことが重要なのです。

ソフトウェアのスキル

インフラエンジニアには、ネットワークやサーバーの知識に加えて、ソフトウェアに関するスキルも求められます。特に近年では、クラウドや仮想化の普及により、従来の物理環境だけでなく、ソフトウェアによってインフラを構築・運用するケースが増えています。

ほかにも、運用や監視の現場では、PythonやShellスクリプトなどを用いたスクリプト作成スキルがあると、定型作業の自動化やトラブルシューティングを迅速に行うことができます。

さらに、インフラとアプリケーションの境界が曖昧になりつつある現在では、DockerやKubernetesといったコンテナ技術、CI/CDのパイプライン構築など、ソフトウェア開発の知識と密接に関連するスキルも求められています。

クラウドのスキル

インフラエンジニアには、クラウドのスキルも必須となっています。オンプレミス環境からクラウド環境への移行が進む中、クラウドサービスを使いこなせるかどうかは、エンジニアの市場価値を大きく左右します。

特に、AWSやMicrosoft Azure、Google Cloud Platformといった主要クラウドのサービス理解は欠かせません。これらを利用することで、従来は物理的な制約があったサーバーやストレージ、ネットワークを柔軟に構築・運用でき、コスト削減や拡張性の確保にもつながります。

AWSのEC2やS3、RDS、AzureのVirtual MachinesやFunctions、GCPのBigQueryなどは、多くの企業で実際に導入されているサービスです。これらを使いこなせれば、システム構築の幅が広がり、プロジェクトに即戦力として参画できるでしょう。

プログラミングスキル

インフラエンジニアにとってはプログラミングスキルも重要です。従来のインフラ業務は物理的な機器の設置や設定が中心でしたが、現在ではIaCという考え方によって、プログラミングやコード管理を活用してインフラを構築・運用するケースが主流になりつつあります。

具体的には、TerraformやAnsibleといった構成管理ツールを扱う際にはコードを書く力が必要ですし、PythonやGo、Shellスクリプトなどを活用して日常的な運用タスクを自動化するスキルも求められます。

また、DevOpsの推進やクラウドネイティブな開発環境では、インフラとアプリケーションの垣根が低くなっており、開発者と円滑に連携するためにもプログラミングスキルが欠かせないでしょう。

セキュリティとリスク管理のスキル

インフラエンジニアとしてキャリアを築くためには、セキュリティとリスク管理のスキルも重要です。

企業のITインフラはサイバー攻撃や不正アクセス、システム障害などのリスクに常にさらされています。そのため、インフラエンジニアにはシステムを安定的かつ安全に稼働させるためのセキュリティ知識や、トラブルを未然に防ぐリスク管理能力が求められます。

例えば、ファイアウォールやIDS/IPSといったセキュリティ対策を適切に運用するだけでなく、ゼロトラストモデルや多要素認証の導入といった最新のセキュリティ手法を理解しておく必要があるでしょう。

障害対応とトラブルシューティングの能力

インフラエンジニアが現場で活躍するためには、障害対応とトラブルシューティングの能力も必要です。企業のITインフラは常に安定稼働が求められますが、ハードウェア障害やソフトウェアの不具合、ネットワークトラブルなど、予期せぬ問題が発生することは避けられません。

そんな時に、障害対応が遅れれば業務停止による大きな損失や顧客からの信頼低下につながってしまうので、迅速に状況を把握し、原因を切り分けて適切な対処を行う力が欠かせないのです。ログ解析や監視ツールを駆使して問題点を特定するスキルや、再発を防ぐための恒久的な改善策を講じる能力も求められます。

コミュニケーション力

インフラエンジニアには、技術力だけでなくコミュニケーション力も重要です。インフラの構築やシステムの安定運用、障害対応はひとりで完結するものではなく、開発チーム、運用部門、さらには経営層や顧客との連携が欠かせません。

円滑なコミュニケーションが取れることで、情報共有や意思決定がスムーズになり、トラブルの早期解決やシステム改善のスピードアップにつながります。専門用語をかみ砕いて説明できる力や、相手の立場に立った調整力があれば、信頼関係を築きやすくなるでしょう。

また、プロジェクト進行中に発生する要件のすり合わせや優先度の調整でも、的確なコミュニケーションがあることで無駄な工数を減らし、チーム全体の生産性を高めることができます。

マネジメント力

インフラエンジニアにとって、マネジメント力も重要なスキルのひとつです。サーバーやネットワークの運用・保守業務は、複数人のチームで分担して進められることが多いため、タスクの進捗を管理したり、メンバーの役割を調整したりするマネジメント能力が大事になります。

また、障害対応やシステム移行といった大規模なプロジェクトでは、限られた時間とリソースの中で最適な判断を下す必要があり、リーダーシップと状況把握力が欠かせません。経営層や顧客との調整も発生するため、技術的な視点とビジネス的な視点をバランスよく持ちながら全体をマネジメントできる力があると、キャリアの幅を広げやすくなるでしょう。

インフラエンジニアが効率的にスキルアップする方法

では、こういったスキルをインフラエンジニアが身につけるときに、効率的に行うにはどのような方法があるでしょうか。

フリーランス案件を行う

インフラエンジニアが効率的にスキルアップするには、経験者であればフリーランス案件を行うのも有効です。

フリーランス案件では実務そのものを通してスキルを磨くことができるため、机上の学習だけでは得られない実践力を養えます。また、案件の内容によっては最新の技術や大規模なインフラ環境に触れられる機会があり、キャリアの幅を広げることにもつながります。

フリーランス案件であれば、短期間のみや特定のプロジェクトのみなど柔軟な働き方が可能なため、自分のスキルやキャリアプランに合わせて経験を積むことができるでしょう。

スクールに通う

インフラエンジニアが効率的にスキルアップするには、スクールに通うのも有効な方法です。

スクールでは体系的にカリキュラムが組まれているため、独学では学びにくい最新のインフラ技術や実務に直結する知識を効率よく習得することができます。また、講師から直接フィードバックを受けられるため、自己流で学ぶよりも早いスピードで成長できる点も大きなメリットです。

クラウド技術やネットワーク設計、セキュリティ対策などは独学でも情報を得られますが、実務に近い演習環境を整えるのは難しいものです。スクールでは実際の現場を想定した演習課題を通じて実践的に学べるため、転職やキャリアアップを目指す人にとってより現場に近いスキルが身につくでしょう。

書籍やオンライントレーニングで学ぶ

インフラエンジニアが効率的にスキルアップするには、書籍やオンライントレーニングを活用するのも有効です。

書籍は体系的な知識を整理して学ぶのに適しており、オンライントレーニングはGoogle CloudやAWSなどが提供する公式コースを通じて最新の技術を体系的に学べるという強みがあります。特にオンライントレーニングは動画やハンズオン形式で進められるため、実務に直結するスキルを短期間で習得しやすいといえるでしょう。

例えば、Google Cloudの「Cloud Skills Boost」やAWSの「Skill Builder」などの公式トレーニングでは、クラウドインフラの設計・運用に関する実践的な演習が豊富に用意されています。こうしたコースを受講することで、現場で必要となるクラウドの知識やセキュリティ、ネットワーク構築のスキルを効率的に身につけることができるでしょう。

コミュニティや勉強会で情報交換を行う

インフラエンジニアが効率的にスキルアップするには、コミュニティや勉強会で情報交換を行うのも効果的です。

コミュニティや勉強会では、最新の技術トレンドや現場で直面する課題を共有できるため、自分一人では得られない知識や視点を取り入れることができます。また、同じ分野で活躍するエンジニアとの交流を通じて、実務に役立つノウハウやキャリア形成のヒントを得られる点も大きなメリットです。

こうした情報は書籍やオンライン教材ではなかなか得られない実践的なものなので、積極的に活用するとよいでしょう。

資格の取得をする

インフラエンジニアが効率的にスキルアップするには、資格を取得するのも有効な方法です。

資格取得を目指す過程では体系的に知識を習得できるため、学習範囲が明確になり、効率よくスキルを伸ばすことができます。さらに、資格はスキルの客観的な証明となるため、転職活動や社内でのキャリアアップにおいてアピール材料となる点も大きなメリットです。

資格の中には最新技術や業界標準に対応した内容が盛り込まれているものも多く、継続的に学習を進めることで常に最新の知識もアップデートできるでしょう。このように、資格取得は体系的な学習とスキルの証明を両立できる手段であり、インフラエンジニアが効率的にスキルアップするために大いに役立つはずです。

インフラエンジニアのスキル向上に役立つ資格

インフラエンジニアのスキルアップには資格の取得が有効ですが、どのような資格を取るのがよいのでしょうか。ここでは、目的や分野ごとに資格を紹介します。

基本的なIT知識を証明する資格

インフラエンジニアとして土台となる知識を身につけるには、まずIT全般の理解を深める資格がおすすめです。

基本情報技術者試験や応用情報技術者試験は、ネットワークやデータベースなど幅広い分野の知識を体系的に学べる国家資格です。これらを取得することで、IT業界全般の基礎理解を証明でき、キャリアの初期段階で大きな強みになるでしょう。

また、ベンダー資格では、CompTIA IT Fundamentals(ITF+)や CompTIA A+といった入門資格も、国際的に通用する基礎知識の証明として役立ちます。

ネットワーク分野の資格

インフラエンジニアの中でも特にネットワークに強みを持ちたい人は、ネットワーク系資格の取得が有効です。

代表的なものにシスコシステムズが提供するCCNAやCCNPがあります。CCNAはネットワークの基礎知識やルーティング、スイッチングの設定などを学べる入門資格で、ネットワークエンジニアとしての登竜門とされています。さらに上位のCCNPでは、より高度なネットワーク設計やトラブルシューティング能力を証明でき、実務に直結するスキルを習得できます。

また、ベンダーニュートラルな資格としてCompTIA Network+もあり、特定の製品に依存せずにネットワーク全般を理解できる点が特徴です。

サーバー・OS関連の資格

インフラエンジニアとしてサーバーやOSの知識を深めることは、日々の運用やトラブル対応に直結します。代表的な資格としては、Linuxの基礎から応用までを体系的に学べるLPIC(Linux技術者認定資格)やLinuCがあります。Linux環境は多くの企業システムやクラウド環境で使われているため、これらの資格は実務で大きな強みとなります。

また、Microsoft認定資格を取得することで、Windows ServerやAzureといったマイクロソフト製品に特化したスキルを証明できます。特に、企業での利用が多いWindows Serverの運用管理スキルは需要が高く、キャリアの選択肢を広げるのに有効でしょう。

クラウド関連の資格

近年、インフラ環境の多くはクラウド化が進んでおり、クラウド関連の知識やスキルを証明する資格の取得は、キャリアの幅を広げるうえで有効です。

代表的な資格としては、AWSが提供するAWS認定資格があります。入門レベルの「AWS認定クラウドプラクティショナー」から、アソシエイト、プロフェッショナル、専門分野ごとの認定まで幅広く用意されており、クラウドの基礎知識から高度な設計・運用スキルまで体系的に学ぶことができます。

また、Microsoft Azureのクラウドサービスに特化した「Microsoft Certified: Azure Fundamentals」や上位の「Azure Administrator Associate」「Azure Solutions Architect Expert」などの資格も、クラウド環境の設計・運用・管理能力を証明する手段として有効です。

セキュリティ分野の資格

インフラエンジニアにとって、システムやネットワークの安全性を確保するセキュリティ知識は必須です。サイバー攻撃の高度化や情報漏えいリスクの増大に伴い、セキュリティスキルの重要性は年々高まっています。セキュリティ分野の資格を取得することは、実務能力の証明だけでなくキャリアアップや転職時のアピールにも有効です。

代表的な資格には、情報処理安全確保支援士があります。これは、情報セキュリティに関する幅広い知識と実務能力を問う国家資格で、システム設計や運用、リスク管理などのスキルを体系的に証明できます。また、ベンダーニュートラルの資格として、CompTIA Security+などもあります。

セキュリティ関係の資格は以下の記事にもまとめています。
セキュリティエンジニアにおすすめの資格とは?国家資格、民間資格ともに紹介

インフラエンジニアがスキルアップを目指す時の注意点

インフラエンジニアがスキルアップを目指す時には、気をつけたほうがよい注意点があります。

現場でスキルを磨く

インフラエンジニアがスキルアップをするときには、現場での実務を通じてスキルを磨くことが重要です。インフラエンジニアの業務は、設計や構築だけでなく、障害対応や運用管理など実際の現場で発生する多様な課題を解決する力が求められます。

もちろん、資格取得やオンライン学習だけでも基礎知識は身につきますが、それだけでは想定外のトラブルに対応する力は養えません。例えば、現場でサーバーダウンやネットワーク障害が発生した際に、どのように原因を切り分け、迅速に対応するかといった経験は、実務を通じてしか得られないでしょう。

このように、インフラエンジニアがスキルアップを目指す際には、実際の現場で経験を積みながらスキルを磨くことが欠かせないのです。

基礎知識を軽視しない

インフラエンジニアがスキルアップを目指す際には、基礎知識を軽視しないことが大切です。

インフラエンジニアの仕事は、OS、ネットワーク、セキュリティ、データベースなど幅広い分野の知識を土台として成り立っています。基礎を固めていないと、複雑なシステム設計やトラブル対応に直面したときに応用が効かず、成長のスピードが大きく落ちてしまうでしょう。

逆に、基礎知識をしっかり身につけている人は、新しい技術に触れても理解が早く、現場で即戦力として活躍できるはずです。

最新技術やトレンドを継続的にキャッチアップする

インフラエンジニアがスキルアップを目指すためには、最新技術やトレンドを継続的にキャッチアップすることが欠かせません。

インフラ分野はクラウドやコンテナ、セキュリティ対策、自動化ツールなどの進化が非常に早く、数年前の知識だけでは現場で対応できない可能性もあります。最新の動向を学び続けることで現場で求められるスキルを常にアップデートし、競争力を維持することができるのです。

セミナーへの参加や公式ドキュメントの確認、技術ブログやコミュニティでの情報収集を続けている人は、新しいサービスや機能に柔軟に対応でき、即戦力として評価されるでしょう。

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インフラエンジニアとしてキャリアを築くうえで、スキルを身につけることは必須です。ネットワークやサーバー、クラウド、セキュリティ、プログラミングなど幅広い分野の知識を磨くことで、現場で即戦力として活躍できるだけでなく、転職や昇進、独立といったキャリアチャンスも広がるでしょう。

効率的にスキルアップする方法のひとつとして、フリーランスとして案件をこなすことが有効です。実務を通じて経験を積むことで、スクールや書籍だけでは得られない実践力を養うことができます。

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